宗教法人の退職金準備

― 牧師の将来と、教会の安心のために ―


はじめに

このページは、特定の商品や制度をおすすめすることを目的としたものではありません。

日本の教会において、牧師の退職後の生活や老後の備えについて、
「誰もが何となく気になっているが、なかなか話題にしづらいこと」を
整理するための情報としてまとめたものです。

役員会での検討資料としても、
また牧師ご自身が将来を考える際の参考としても、
静かに読んでいただければ幸いです。


教会と牧師を取り巻く現実

多くの教会では、次のような現実を抱えています。

  • 退職金規程が明確でない、または十分に整備されていない
  • そもそも献金によって集めるものではないか
  • 共済会の給付や年金だけでは老後生活が成り立つか不安が残る
  • 教会財政の状況から、退職金の積立額を増やすことは難しい
  • 牧師は70歳前後で退職を迎えるが、その後の生活設計が見えにくい
  • 退職と同時に牧師館を離れ、住居費の負担が生じるケースも多い

こうした状況の中で、
牧師の老後生活は結果として「自己責任」に委ねられているのが現状です。


過去の経験が生む慎重さについて

教会の中には、過去にまとまった資金を動かした結果、
思うような成果が得られず、苦い経験をされたところもあります。

そのため、
「資金運用」「投資」といった言葉に、
強い警戒心や抵抗感を持たれていることも少なくありません。
役員会でそのような事を話し合った教会もあると聞いています。
「誰が責任を取るのか?」という言葉も聞かれます。

それは、決して間違った感覚ではありません。
むしろ、教会の大切な献げものを守ろうとする
誠実さの表れだと思います。


ここでお伝えしたいこと

ここでお伝えしたいのは、
過去のような『一度に大きな金額を動かす資金運用』の話ではありません。

そうではなく、

  • 毎年、毎月、無理のない金額を
  • 長い時間をかけて
  • 少しずつ積み上げていく

という、**将来の安心を形にしていくための「資産形成」**の考え方です。
リスクを抑えた昔から実績のある方法です。

これは投機ではなく、
老後生活・介護・医療などに備えるための生活基盤づくりです。


教会としてできること・
できないこと

教会として、退職金制度を整え、
十分な積立を行うことが理想である一方、
現実には次のような制約があります。

  • 献金収入の先行きが不透明
  • 役員交代による方針の継続性の難しさ
  • 将来世代への負担増加への配慮

そのため、
「教会としてはこれ以上踏み込めない」という判断も
十分に理解できます。


牧師個人が備えるという選択肢

教会として制度化できなくても、
牧師ご自身が将来に向けて備える道はあります。

  • 教会に負担をかけすぎない
  • 自分のペースで進められる
  • 家族に安心を残せる

若い時期から少額でも始められれば、
退職が近づいてから大きな負担を感じずに済む場合も多くあります。
それは自分自身だけではなく、教会員にも与える事のできる安心です。

牧師が安心して老後を迎えられることは、
教会員にとっても大きな安心につながるのです。


実際の取り組みの一例
(宗教法人契約)

ある教会では、牧師の将来に備える必要性を役員会で話し合う中で、
宗教法人である教会が契約者となり、積立を開始しました。

教会として大きな資金を一度に動かすことや、
日々の細かな判断を役員会で行うことには慎重な意見もありましたが、
法人の代表者である牧師に、実務的な管理を委ねる形であれば進められるのではないか、という合意に至りました。
過去に牧師が辞める時に準備したものが無く苦労した経験があったそうです。

具体的には、契約の枠組みや方針については役員会で共有・確認した上で、
日常的な対応や管理については牧師に一任し、
役員会は定期的に状況の報告を受ける形を取っています。

開始から約1年が経過し、積立は概ね安定して推移しています。
何より、教会として牧師の将来を支える一つの形が見えたことで、
牧師ご本人にも安心感が生まれ、
役員会としても過度な負担や不安を抱えることなく継続できていると伺っています。

もちろん、これは一つの事例であり、
教会の規模や状況によって最適な形は異なりますが、
宗教法人として退職後の備えを考える際の参考になれば幸いです。


信仰と備えについて

聖書は、将来に備えることそのものを否定していません。

「蟻には首領もなく、指揮官も支配者もないが、
夏の間にパンを備え、刈り入れ時に食糧を集める。」(箴言6章7節)

神に信頼しつつ、
今日できる備えを忠実に行うことは、
信仰と矛盾するものではなく、
家族や共同体への愛の実践でもあると考えます。


最後に

このページは、
「今すぐ何かを始めましょう」という提案ではありません。

ただ、

  • 将来について考える材料として
  • 役員会で整理する際の参考として
  • 牧師ご自身が静かに考えるために

お役立ていただければ幸いです。

もし、内容について何か気になる点や、
もう少し具体的に知りたいことがありましたら、
ご負担のない形でご連絡ください。


※本ページは一般的な情報提供を目的としており、
特定の商品や契約を勧誘するものではありません。